サウナ&車中泊の総合満足度:★★★☆☆ この組み合わせは想像通り
2025年8月某日
昨夜の青森ねぶた祭の熱狂と喧騒が、まだ体にまとわりついている。そんな余韻をキャンピングカーのハンドルに感じながら、今日は津軽平野を西へ。目的は、五所川原の立佞武多。天を衝くほどの巨大な山車が街を練り歩く、あの圧倒的な光景をこの目で見るためだ。
しかし、その前にやるべきことがある。旅の汗を流し、心身をリセットするためのサウナだ。向かったのは「エルムの湯」。ここで私は、想像をはるかに超える、その土地ならではの水の個性に度肝を抜かれることになる。蛇口をひねると、シャワーから出てきたのはまさかの茶褐色のお湯!まるで麦茶のような色に一瞬戸惑ったが、すぐにこれがこの土地の恵みそのものであることを理解した。津軽に暮らす人々の日常を、肌で感じた瞬間だった。


エルムの湯
満足度:★★★☆☆ 想像通り 料金:大人 480円

サウナ
サウナ室の扉を開けると、むわっとした熱気とともに、カラリとした空気が肌を包む。温度計は94℃を指しており、しっかりとした熱さを求める自分にとっては嬉しいセッティングだ。広々とした室内にはテレビが設置されているが、音量は控えめ。常連さんらしき方々も、皆黙々と己と向き合い、静かに汗を流している。このストイックな雰囲気がまた心地よい。壁や床がほんのりと色づいているのは、長年この地の温泉成分を吸い込んできた証だろう。40代の疲れた体に、じっくりと熱が染み込んでいくのを感じる。
水風呂
サウナで蒸し上げられた体を冷やすべく、水風呂へ。体感で18℃といったところだろうか。正直に言えば、もう少しキンキンに冷えていてくれると最高なのだが…と一瞬思った。しかし、この施設の真価はそこではなかった。なんと、この水風呂もまた茶褐色なのだ。温泉はもちろん、カランから出るお湯、そして水風呂まで、全てがこの土地の地下水で満たされている。床やタイルが黄土色に変色しているが、それは汚れではなく、温泉成分が作り出した勲章のようなもの。植物由来の有機物を豊富に含んだ「モール泉」と呼ばれるこのお湯に体を沈めると、肌にまとわりつくような、まろやかな感触がたまらない。これはこれで、唯一無二の体験だ。
休憩所
ととのいスペースは、内湯に椅子が2脚、そして露天スペースに3脚とベンチが2つ用意されている。私は迷わず外へ。津軽の涼やかな風が、火照った体を優しく撫でていく。空を見上げれば、どこまでも続く青い空。サウナの熱さ、モール泉のまろやかさ、そしてこの外気浴。完璧な「ととのい」とはいかないまでも、この土地の恵みを全身で受け止めた満足感は非常に大きかった。480円でこの体験ができるのだから、感謝しかない。
道の駅 つるた「鶴の里あるじゃ」
満足度:★★★☆☆ 想像通り 料金:無料
トイレ
道の駅の評価を大きく左右するトイレ。規模は標準的で、設備に真新しさはないものの、隅々まで綺麗に清掃が行き届いており、好感が持てる。夜中に利用する際も、不快な思いをすることなく安心して使えた。虫の侵入もほとんどなく、管理が行き届いている証拠だろう。




駐車場
広大で、ほぼフラットな駐車場は、我々キャンピングカー乗りにとってまさにオアシスだ。昨夜の喧騒が嘘のように、ここは静寂に包まれている。大型トラックも停まっているが、駐車スペースが広いため、十分に距離を取って停めることができる。アイドリングの音もほとんど気にならず、安眠を妨げられることはなかった。 この日も立佞武多の影響か、30台ほどの車中泊仲間がいたが、キャパシティが大きいためまったく窮屈さは感じない。皆マナー良く、静かな夜を共有している。この穏やかな時間が、一人旅の疲れをじんわりと癒してくれる。

本日のまとめ
旅の醍醐味は、観光名所を巡ることだけではない。その土地ならではの温泉やサウナに入り、「水」を知ること。エルムの湯で出会った茶褐色のモール泉は、津軽平野の豊かさを肌で感じさせてくれる、まさに「大地の恵み」だった。少しぬるめの水風呂も、今となっては良い思い出だ。
そして、祭りの前の高揚感を胸に、静かな道の駅で過ごす夜。この穏やかな時間が、明日への活力を充電してくれる。昨夜とは打って変わって深く、穏やかな眠りにつけそうだ。
心と体の準備は万端。明日は津軽の夏を存分に楽しんだ後、旅はいよいよ秋田県へ。この先、どんなサウナと出会いが待っているのだろうか。40代の一人旅は、まだまだ続いていく。